メディア 2024.04.23
テキスタイル製造卸 トップに聞く
テキスタイル製造卸 トップに聞く
瀧定名古屋 瀧健太郎氏
拠点増やし海外販売を強化
各産地の訪問で一層の連携深める
2024.4.16 繊研新聞
適量生産への対応や各種コスト増、急激な円安などビジネスを
めぐる環境が変わる中、テキスタイル製造卸各社もこうした変化への
対応を迫られている。
市況の不透明感も漂う昨今、収益確保や更なる成長に向けどのような手を打つのか。
各社のトップに現状と課題、今後を聞いた。
販路開拓、輸出増が貢献
–前期(24年1月期)を振り返って
紳士服地、婦人服地、製品の全部門で増収となり、前期は増収黒字転換となりました。
テキスタイルは紳士服地が郊外型店舗向けの受注が増え、婦人服地が
百貨店向けアパレルの販売を伸ばしました。
スポーツ・アウトドア向けの新規開拓や、輸出が増えたことも増収に寄与しました。
ただ、秋冬向けが暖冬の影響を受け苦戦しました。
産地で供給や納期が厳しい中、早い段階で発注し対策したものの、その後の発注に
つながりませんでした。特に紡毛織物が厳しかったです。
尾州産地の仕入れ先を訪問した時は、「例年にない状況だ」というのが共通認識でした。
–海外販売の状況は
中国向けが22年にコロナの影響で受注が減り、23年前半まで苦戦しましたが、
ロックダウン(都市封鎖)が解けてから現場が積極的な提案を行い、
昨対比で良い結果となりました。
アセテートや天然素材など、求められる生地は多岐にわたります。
日本企画の中国生産で連携を構築できつつあるため、
今期はロックダウンで苦戦した分を取り返していきたいです。
欧州向けは堅調です。
アムステルダムの現地法人で販売を進めており、
テキスタイルに加えメンズ向け製品も販売しているのがプラスになっています。
24年度は海外販売に注力します。
中国、ベトナム、カンボジア、アムステルダムの全グループで素材から製品まで販売を強化します。
現地で物作りし、現地で販売する地産地消の海外販売も、様々なチェネルを活用して進めていきたい。
1月に韓国の現地法人を立ち上げました。
売り上げ、ネットワークなど拠点作りをしっかりと構築し、韓国向けに販売していきます。
備蓄機能を継続強化
–今後の見通しは
アフターコロナとはいえ先行き不透明のため、慎重にいかなければいけないと考えています。
国内は1月に能登半島地震がありました。
北陸を含め、日本全体の産地が厳しい状況に立たされる中、
当社は産地からの自家生産が増えてきています。
今後は自ら産地を回って話を聞き、各段階のメーカーと一層の連携を深めていきます。
サステイナブル素材は自家生産でトレーサビリティー(履歴管理)や物性など担保できる点が
支持されているため、差別化商品として従来以上のバリエーション豊富に揃えていきます。
多機能素材の「ナイロール」やPLA(ポリ乳酸)繊維「プラックス」なども備蓄機能を生かし、
お客様が使いたい時に安定供給できるように強化していきます。