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メディア 2024.08.23

23年度の業績ランキング「服地卸」

23年度の業績ランキング「服地卸」
  
繊研新聞電子版2024年8月23日掲載分関連記事
  
繊研新聞社が服地コンバーター・卸企業を対象に実施した23年度の業績調査によると、前年と
比較可能な21社の服地売上高合計は1504億1100万円、11.0%増と、22年度の21.7%からは
伸び率が鈍化したものの、回復が続いている。
国内市況は厳しいという意見が多い中で、各社ともに海外への展示会参加などに力を入れている。
  
21社のうち増収は14社で、減収は7社だった。ランキング上位企業は増収が多く、減収だった企業
でも大きな落ち込みは見られない。回答企業数は年ごとにやや異なるが、19年度増収6社、減収19社、
20年度増収3社、減収19社、21年度増収13社、減収9社、22年度増収14社、減収6社。
服地売上高の合計は19年度7.2%減、20年度24.1%減、21年度2.3%増、22年度21.7%増だった。
  
上位のシェア増加
23年度の上位1~5位の売上高合計は1106億6700万円で、前年比13.8%増、21社に占める割合は
73.5%(昨年度は21社の71.8%)となり、昨年に引き続き上位のシェア率が増加。
21社合計の売上高の伸びは約149億円。比較可能な企業の中で輸出比率が前年より伸びたところは
13社中8社で、円安を追い風に海外展開を強化する企業が目立った。
  
首位のスタイレム瀧定大阪は非公表だったものの円安を背景に海外向け生地販売が売り上げを
けん引したという。中国、北米、中東は引き続き好調だが、欧州はやや陰りが見え停滞気味。
インフレがアパレル購買に影響を与えていると指摘する。
  
昨年4位のデビスは3位となった。輸出が9割以上を占める同社も円安の影響で数量が増加。
機能性のある合繊素材を中心に各ブランドで採用品番が増えた。22年末に価格転嫁のための
値上げを実施したこともプラスになった。
円安で日本素材の引き合いが増える一方で、国内ではサプライチェーンの減少が課題となっている。
原燃料高や人手不足など、産地を取り巻く状況は厳しい。織機の投入や信頼関係の強化などに注力している。
  
「国内産地と徹底的に共存・継続していくためにコストアップは受け入れざるを得ない」と語るのは
宇仁繊維。廃業、生産スペースの減少を食い止め安定したサプライチェーンを維持するために
ジャカード織機を5台購入、北陸の工場に貸与した。染工場が特に厳しいとして、開発を更に
強化する計画だ。
  
サンウェルは染工場を軸とした仕入れ先との販売状況の共有と生産能力の連動を強化し、
短納期、高品質、安定供給を推進する。仕入れ価格交渉だけでなく自社内での企業努力も進め、
為替やコストによる影響を抑え、価格の安定化に取り組んでいる。タキヒヨーは国際認証取得の
ための投資や素材のLCA(ライフサイクルアセスメント)算出などに取り組む。
  
情報、魅力を発信
そのほかサプライチェーン維持に向けては「毎月一定量を発注し安定した価格・納期での
商品提案を実施」(柴屋)、「一定の値上げ要請を受け入れながら共存・共栄のために
オーダー増を目指し国内外で販促活動に注力」(コスモテキスタイル)、「国際的な商流循環を
意識した取り組みの強化」(川越政)、「閑散期生産による原価の交渉」(大松)などに取り組む
企業があった。
設備面での支援や価格転嫁のほか、「地域イベントに積極的に参加し、産地自体の底上げ、
魅力発信」(ササキセルム)、「国内市場での縮小傾向が強まる中でプリント需要喚起」(北高)と、
産地や素材の情報発信に注力する企業も見られた。
  
今後の課題としては、より付加価値を持つ素材の開発や新事業の開拓を挙げる企業が多い。
サンウェルは主力のレディスカジュアル以外にもレディスアッパーゾーン、ユニフォーム、
タウンユースに向けた付加価値のあるオリジナル製品の開発、提案を進める。
差別化糸や機能加工、サステイナブル関連などの開発に各産地と連携して取り組み、
より付加価値を高めていく。宇仁繊維は国産の強みであるオリジナルな後加工品の開発を
通じ、付加価値ある素材開発を強化する。
  
「クリエイティビティーの向上」を掲げるスタイレム瀧定大阪はグローバル起点でニーズをつかみ、
生地開発のための体制や人材開発を強化する。瀧定名古屋はスポーツ向けや制服などの
新事業を伸ばすほか、戦略開発素材として位置づけている多機能素材「ナイロール」の市場での
認知度が高まっているとして、期待を寄せている。タキヒヨーは環境面や新たな機能の開発などで
素材のブランディングを進める。
  
国内での展開にも力を入れる。デビスは今年新たに設立した工場に無水染色・プリント技術
「エアダイ」と無水顔料インクジェット機「プレスト・マックスS」を集約。同工場のサステイナブル性と
スピード性、高品質なプリントを打ち出し、販売を促進する。「持続的な取引を継続するために
良好な関係を築いていく」(澤村)、「魅力的な商品投入によるシェア拡大」(双日ファッション)などもあった。
  
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