瀧定ヨーロッパ 過去最高業績を更新
欧米SPAとの取り組み拡大で
瀧定名古屋のオランダ・アムステルダム法人、
瀧定ヨーロッパの2018年度は、前年度比約10%の増収となり、
売り上げ、利益ともに過去最高を更新した。
エシカル消費への対応といった企業姿勢そのものを
積極発信するこの数年の取り組みが奏功して、
欧米顧客に環境配慮型の商品群の認知が定着。
最近では複数の欧米グローバルSPAからの大口受注を獲得し始めている。
同社ではこの間、社会的責任ある供給体制を保証する
世界認証をウールや綿で取得する一方、
「テンセル」やキュプラ、リサイクルポリエステル品も増強した。
天然・化繊双方で「サステイナブル、リサイクル、トレーサブル」を
切り口とする商品群を増やし、これに提案も絡めて
グローバルSPA攻略を進めてきた。
20春夏向け生地を披露した「プルミエール・ヴィジョン・ファブリック」でも、
前シーズンに続きポリエステル・ウール混織物を中心とした
トラベルウェア「トラベスト」シリーズを打ち出し、商品も大幅に拡充した。
元来は国内紳士服チェーン向けに開発し、
長く販売するイージーケア生地も、撥水(はっすい)性や防シワなど
機能性に重点を置いて「テクノウール」と銘打って改めて訴求。
ファッションのスポーツ、カジュアル化傾向とも合致し、
米国SPAでまず市民権を得たこれらの商品群が欧州でも注目され、
今シーズンは欧州グローバルSPAの大口新規受注にも手応えを得た。
今後の課題として挙げるのはマンパワー。
現状の人員構成では備蓄品の小ロット販売の深堀りは難しく、
訪問営業による別注獲得を優先してきた。
トライアルでも1品番の10万㍍超の発注規模も少なくないSPA向けでは、
「専属人員を置くと、他社動向のフォローが難しくなる。
(マンパワーを引き上げて)多数のアパレルとの取り組みを
背景とした企画力や情報を背景とする現在の評価を守る必要がある」
(瀧定ヨーロッパの黒田剛臣社長)との問題意識を持っている。
欧州SPAからの受注増には縫製オペレーションを
含めた製品での提案も寄与した。今後、縫製工場を運営する
瀧定名古屋のカンボジア法人などの活用も視野に、
海外法人同士の連携も強化する。