瀧定名古屋の生地輸出 対米好調で再び増収基調
「環境配慮」で北欧開拓も
瀧定名古屋の生地輸出部門である国際貿易推進部の
2018年1月期売上高が、米国向けを軸に回復している。
今後も同国向けを伸ばすほか、
「当面のターゲットは北欧」(黒田剛臣国際貿易推進部長)と位置付け、
同地域のアパレルが高い関心を示す
「サスティナブルエコロジー」(環境保全に配慮した持続可能な社会)の
打ち出しを強めることで事業拡大を狙う。
17年1月期の同部売上高は前期比1割減と、
同部始まって以来の減収決算だった。
黒田部長によると18年1月期売上高は、
16年1月期並みの25億円となる見込みで、
今後の展開次第では上振れの可能性も大いにあるという。
好調をけん引するのが米国向け。
同社が生地輸出事業をスタートした約10年前、
そのきっかけとなったのは米国向けコート地輸出だった。
この商いは今では消滅したが、近年改めて同国で新規顧客開拓を進め、
その成果が表れ始めた。
定番糸の生地がその主役だが、顧客ごとにニーズをつかみ、
ストーリー性やメッセージ性を付与した提案を行ったところ評価され、成約が相次いだ。
「安いが量が出るという米国市場に、あえてメッセージ性を盛り込んだ」ことが奏功した。
18年1月期の好調を支えるもう一つの地域が北欧向け。
実績ゼロからのスタートだったが、最大輸出先である
ドイツ向けが苦戦していることも背景に、
北欧に近いオランダ・アムステルダム事務所から
約1年にわたって市場調査を行い、商機ありと判断。
提案強化によって早速の実績につなげた。
北欧開拓の鍵を握るのが「環境配慮」という切り口。
環境先進国とされるスウェーデンなど北欧ではアパレルもその意識が強く、
生地提案にもその対応が求められる。
北欧市場調査でそれを理解し、関連商材を取りそろえ、打ち出しを強めた。
このほど出展した「プルミエール・ヴィジョン(PV)ファブリック2018秋冬」でも、
ブースの大部分を天然素材やリサイクルの合繊、
ウールといった環境に配慮した商材で埋め、
さらにパネルなどでも環境配慮型企業であることをアピールした。
H&Mが8月下旬に立ち上げたネット販売を軸にする新ブランド
「ARKET(アーケット)」にも同社生地が採用されたが、
その際にも環境配慮商材やそのアピールが効果を発揮したという。
PVでは他にも「縫製時のゴミが出ない」という意味で島精機製作所の
無縫製編み機「ホールガーメント」による製品や、
原料部門を社内に有することを背景にしたオリジナルウール原料などを打ち出し、好評を得た。