メディア 2024.06.17
中日新聞で青山商事と弊社が取り組むWEARSHIFT が紹介されました。
環境に優しい「サイクルウール」70年続く一宮の技に脚光、大手アパレルが商品化続々
2024年6月7日16時00~(6月7日16時00更新)
世界三大毛織物産地とされる愛知県一宎市周辺の尾州で、古着や裁断くず
などから羊毛を取り出す「リサイクルウール」が、環境配慮の観点から注目
されている。地元では高度成長期から根付いてきた技術だが、大手アパレルが
近年、再利用した尾州の生地を使った商品を続々と販売。
安価な外国産に押される産地で、新たな価値を生み出している。
「尾州産のリサイクルウールを取り入れたウエアシフトスーツ」。
全国の「洋服の青山」の店舗に今春、そんなパネルが置かれるようになった。
同店を展開する青山商事(広島県福山市)が、繊維専門商社
「瀧定(たきさだ)名古屋」(名古屋市)と組んで発売した新商品。
環境意識が高い若者などを主なターゲットに据える。
青山商事は、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向け、リサイクル生地に
着目。新品の羊毛で作るのに比べて質の劣るイメージがあったが、表面を
丁寧に熱処理することで肌触り良く仕上げる尾州の技術に目を付け、商品化を
実現した。
尾州産地は「ガチャマン景気」と呼ばれた1950 年代ごろ、毛織物の生産で
栄えた。多くの繊維工場が立地し、大量生産の過程で余った生地や糸も
たくさん出た。そこで、高価だった羊毛を何とか再利用しようと始まった
のが、繊維を一度粉砕して綿状にする「反毛(はんもう)」だった。
この地域で再び糸にして、生地に仕上げるリサイクルが発達した。
その一角を担うのが、全国から古着を集めて反毛にする専門業者
「サンリード」(一宮市)。青山の生地づくりに携わる同社の作業場、
古着が山のように積み上がる。全国の廃品回収や店頭で集めた
古着などが月に20 トンほど届くといい、従業員たちがはさみで
服のタグを切り、スーツの袖や背中の部分など再利用できる生地を
取り分ける。
サンリードの南正明社長(66)は「70 年前からやってることは同じ。
ただ地元でも知らない人が多いので、注目されるのはありがたい」。
ファストファッションが流行する近年は、回収量が増加するとともに、
業界内の環境意識も高まり、販路が拡大してきた。
「無印良品」を展開する「良品計画」(東京)は、2016年から
尾州産のリサイクル生地を使用した製品を販売。婦人向けコートや
紳士用ジャケットなどに使っている。同社は「限られた資源を無駄に
せず、有効活用するという視点で今後も生産を続けていきたい」と
の考えだ。
一宮市のまとめでは、同市の繊維工業の出荷額は1988年
には4200億円を超えたが、その後、減少傾向が続き、20年
には705億円まで落ち込んだ。近年、青山商事以外にも多くの
ファッションブランドにリサイクル生地を供給するようになった
瀧定の担当者は、「尾州産地を活性化したい。今後も継続的に
取り組んで、地場産業を守っていければ」と語る。
(猿渡健留、写真も)