メディア 2023.11.07
TOPインタビュー:瀧定名古屋 社長 瀧 健太郎氏 企画・提案をやり切る・市場を広く、グローバルに見る
繊維ニュース 2023年(令和5年)10月26日掲載記事
TOPインタビュー
瀧定名古屋 社長 瀧 健太郎氏
企画・提案をやり切る
市場を広く、グローバルに見る
瀧定名古屋の瀧健太郎社長は最旬の取り組みとして「企画・提案を、勇気を持ってやり切る。」と話す。
その言葉には製販をつなぐ商社として永続的な使命に対する決意が表れる。
“課のグローバル化”という言葉に集約される、マーケットを広く捉えて見渡すことも重要だと語る。
各部の総合力を終結して、新市場の開拓を狙い続ける。
___貴社が重要視する“最旬”の事業や取り組みは。
企画や提案を、勇気を持ってやり切ることを重要視します。
糸から生地・製品により販売先の要望が異なりますが、取りこぼしがないよう“やり切る”ことが大事です。
もう一点は、マーケットを広く捉えることです。
輸出や異業種との取り組みをさらに積極的に行います。当社はこれを“課のグローバル化”という言葉で共有しています。
海外現地法人や国際貿易推進部の連携も重要です。部署の強みを共有しながら商機を狙うだけでなく、
独自のサプライチェーンを組むことも間違いなく強みとなります。
紳士服地・婦人服地・アパレル・素材原料の各部をつなぐのが「マーケティング戦略室」です。
市場調査から戦略、部署を超えた横串の提案など、ハブ機能がさらに高まることを期待します。
___上半期(2023年3~7月)を含め、足元の状況は。
各部署を支える従業員の頑張りで、増収・増益で推移しました。
ただ、9月以降の残暑が厳しかった影響で、冬物の受注は鈍化傾向にあります。
この要因が通期に響くかを少し懸念しています。
増収は衣料品市場の回復に加えて、スポーツ・アウトドア向け機能性付与型商材が受注できました。
これは原料素材部を含め、販売先の課題や困りごとを解決できる新たな提案が奏功した事例もあります。
ユニフォーム向けにも品質や機能の優位性に理解をいただき、新規受注につながりました。
各部署で上げ幅は異なりますが、販売先に理解を得た上で単価を上げさせていただいたことも増益の要因と言えます。
単に値上げをお願いするだけではなく、為替や原料、エネルギーコストの上昇を含みながら、
付加価値を付けた商材の提案が進んだことも大きいです。
___下半期(8月~24年1月)と、来期に注力することは。
冬物の商況が落ち着いてはいますが、従業員には来春夏物への商売も積極的に実施しようと話しています。
さらに、海外への往来も活発にできますから、中国やアジア諸国、欧米への販売も一層の強化を図ります。
モノ作りに目を向けると、特に国内の生産能力の弱体化や人手不足といった、厳しい状況が続きます。
生産期間が長期化する品種や、生産自体を断念しなければならない商材も出てくるでしょう。」
課題の解決に向けて、全力を尽くしたいを考えています。
___尾州など産地と積極的に関わる。
長い歴史の中で産地企業と信頼関係を構築してきました。
そのお かげで“自家生産”による差別化した商材が販売先に支持を頂いています。
今後も産地の企業に向けて、販売先や製品の最終形態といった“出口”を示し続けます。
産地企業のモノ作りの知見も深めます。現場の見学や細やかな情報交換を進めて、その道のプロを育成する仕組みも進めます。
将来、産地での生産が自己完結できなくなる危険性もあります。
デジタル技術の活用では解決できない問題に対して、これまで培ったノウハウや見解が生かされるはずなので、その引き出しを活用します。
___海外販売の状況は。
上半期は中国向けで苦戦傾向にありましたが、下半期や来期に向けて明るい材料があります。
中国企業には細かくスピード感を持った対応が奏功しました。
現地スタッフの業務精度も向上し、私が出張するたびにその成長が頼もしく映ります。
今後はさらなるアジア諸国の販路拡大を狙います。
ベトナムの展示会には出展していますが、インドネシアやタイでの出展も視野に入れています。
上海・ベトナム・カンボジアの現地法人の連携や情報共有も進み、モノ作りを構築できる人材も活躍しています。
欧米向けはアムステルダムを拠点に、これまで以上の活躍を期待しています。