お知らせ 2022.02.21
医療向けの開拓に注力、社会貢献とビジネス両立へ
瀧定名古屋 2022.02.02 繊維ニュース
医療向けの開拓に注力 社会貢献とビジネス両立へ
瀧定名古屋が医療向けの開拓を進めている。
新型コロナウィルス禍の中で医療用ガウンなどを手掛けてきたが、
このほど名古屋大学医学部附属病院と共同で患者用転倒防止シューズを開発した。
同病院だけでなく他の病院へも販売しており、社会貢献とビジネスの両立を目指す。
同社は既存のファッション衣料向けの商況が厳しくなる中で新たな事業を模索していた。
一昨年、同病院から医療用ガウンの不足について相談を受け安定的な供給を推進。
同病院では患者の転倒事故が長年の課題だったこともあり、これがきっかけでシューズの
開発に至った。
同病院の長尾能雅副病院長によると、同病院では年間750件の転倒・転落事故があり、
うちスリッパが要因と考えられるものは25%を占めている。
従来のスリッパは滑りやすい上に、既存の患者用シューズは高価で導入が進まなかった。
長尾副病院長は「事故防止の対策が不可欠だった」と振り返る。
そうした点を改善しようと誕生したのが「ホスピスシューズコロバン」。
不織布で地下足袋のような形状をしており足にフィットするのが特徴。
裏側は合成樹脂を用いることで滑りにくくした。
安価で使い捨ても可能なため衛生面にも配慮できる。
かかと部分に引っ張れるストラップを付け履きやすさにもこだわった。
患者だけでなく訪問介護などの医療従事者にも使える。
共同で実用新案も登録済み。
2020年秋ごろから開発を進め両者で試行錯誤を繰り返しながら、完成には1年を擁した。
同病院へは1万足販売しており患者からも好評だと言う。
同社は別の複数の病院や薬局などにも販売。同社の担当者は「新型コロナ禍で生まれた
ニーズに着目し商品化することができた」と話した。
同社で1月28日には、シューズを共同で開発したとして長尾副病院長から感謝状が贈られた。
瀧健太郎社長は「ビジネスとしてではなく困り事を解決したいという思いで進めてきた。
医療従事者が日々奮闘する中で今後当社としてもさまざまなことで貢献していきたい」
と語った。